Amber アンバー(琥珀)
太陽が涙を流す・・・・この名前の由来とは・・・・・・?アンバーという名前の裏には物語と長い歴史があります。
オヴィッドの*変身譚(へんしんたん・へんしんだん)に、琥珀の姉妹である "樹木"が登場しますが、父である太陽神ヘリウスに認められようとして亡くなった兄弟のファエトン(ギリシャ神話)を嘆き悲しむ場面があります。
そしてもちろんその涙が琥珀であり、"太陽の涙"と呼ばれる由来なのです。琥珀は自然土にはぐくまれて出来た貴重品の中でも暖かく、また、私達人間の心に入り込み、そこを住み家とするという能力を持つという点で独特です。
金"は暖かみがないと言う人もいますが、琥珀はそのようなことはありません。私達の心を癒し、まるで魔法のように魅了し、琥珀の持つ貴重な宝庫と内に秘められた物語性で私達を遠い過去へと導いていくのです。
石英のような水晶類は美しく、物理的距離を縮める事を可能にしてくれますが、琥珀は、精神面における過去と私達の距離を結び付ける唯一の物質です。 オヴィッドの時代とほぼ同じ時代から、私達は琥珀の起源は"木"であると知っています。
「小枝の生き血」とも呼ばれる蜜入りの樹液の甘さは、この年月を経た化石樹脂を通して貯蔵されています。 琥珀は、私達人間がこれまでどんなに努力しても未だに複製を作る事ができない独特なものです。試みて失敗した者も多いでしょう。 今日の樹木の化石からは、ただ単に熱を加えて本物の琥珀を作る事もできません。このような貴重な品を得るにはこつこつと適所を発掘し、 丹念に育てなければなりません。
では、琥珀の持つ生命とは・・・・・・? 琥珀は長い間神秘的なものとみなされ、その黄金の精巧なる古代生物の保存状態から、魔術崇拝されてきたほどです。 その魅力が、私達の先祖を、死後の肉体を永久保存するという試みに導いたのでしょうか?
ごく小さな*スカラベ(甲虫石)が金で永久保存できるならば、ファラオ(エジプト王)こそ永久保存に値するのではないでしょうか? おそらく琥珀は、偉大なるピラミッドを建設することになった動機の一つでしょう。
琥珀は最も興味深い物質です。よく樹液だと言われていますが、単に樹液だけという訳ではありません。琥珀は樹脂で出来ており、 琥珀酸または琥珀酸塩エステルを含みます。樹液は、樹木の心材(中心の赤味がかった部分)から分泌される液体物質で、樹木そのものに栄養を与えます。
樹皮の内側にある樹脂は、虫による穴空きや嵐などによる損傷から樹木を守ります。樹脂はシロップのように流れ、松のような独特の甘い匂いがします。 この甘い匂いは、テルペンという名で知られている化学物質によるものです。
樹木の豊富な山地の写真を見ると、薄く霞がかった雲が樹木を覆っているのをよく見かけると思いますが、 これはこの芳香な化学物質が球果樹木から放出されているためです。何百万年という長い年月と、特定の岩層の中で琥珀ははぐくまれ、 テルペンが発生し、化石から放出され、琥珀を形成するのです。揮発性テルペンが樹脂から放出しきらないと、琥珀、または *コーパルは十分に熟成・成熟しません。
* 変身譚 = ギリシャ・ローマ等の神話伝説に見られる変身の話を中心とした物語詩
* ファエトン=太陽神 ヘリウスの子; 父の日輪の馬車を御しそこない火災を起こしかけたため ゼウスに雷電で殺された
* コーパル=熱帯産樹木から採れる樹脂で、ワニスの原料
* スカラベ(甲虫石)= 古代エジプトで太陽神ケペラの象徴として再生・豊穣をもたらすものと 神聖視した、オオタマオシコガネ(大型のコガネムシ)をかたどった護符。
装飾品・印章としても用いた。(最近話題の映画、ハムナプトラにも出てくる昆虫です。)
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